魔女の宅急便

魔女の宅急便」は、
主人公の成長という側面でいえば、巧みな構成になっていることがわかる。
しかし、だからといって、手放しで喜べるほどではない。
問題は、キキが陥る悩みがあまりに稚拙ということだ。
人間関係をこれまで持ったことがないのか、と思えるほど、
初歩的な「挫折」なのである。
これは、宮崎監督の女の子像と
密接にかかわっているのではないか、と疑いたくなる。
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つまり、監督の女の子像があまりに幼稚であるということだ。
中学生の男女を比べれば明らかなように、
女の子のほうが精神的成長は早い。
にもかかわらず、宮崎監督は、キキのような純情で無垢、
あたかも無菌状態で育ってきたかのような女の子像を描いてしまう。
いくらキキの設定が13歳だからといっても、世間知らずすぎるのではないか。
だから、挫折を克服したとしても、ラストのカタルシスはあまり大きくない。
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しかし、それこそがこの映画が支持される理由に他ならない。
やはり、物語の主人公は、実年齢より若い精神年齢であることこそ、
人々に支持される重要な要素なのである。
何度見ても見飽きないのは、成長に伴って「若く」なっていく、
観客の子ども像と、キキの幼さが重なっているということだろう。