子どもの内的世界

私が子どもの頃、寺の銀杏にのぼっては、寺の住職や老婆に火がついたような勢いで怒られた。住職は坊主頭だからタコのようでもあり、それが赤くなっている様は赤鬼のようでもある。その住職の母親である老婆はすでに腰が曲がっていたが、その怒りの心底が見えず、ただただ怒っているようにしか見えない、得体の知れぬ、ヤマンバのようなものだった。
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 近所には、ヤギを飼っている家が一軒だけあった。その家はもうあばら屋で、生い茂るツルや草のなかに埋もれていた。そこに一人で住んでいたやさしそうなおばあさんの顔が、ヤギの罪のない顔とダブって思い出されるのである。
 となりの校区にある団地にいくと、同じ年齢の子どもたちが襲ってきた。子どもは残酷だから、捕まれば殴られたり、つるし上げられたりする。相手が自転車で追ってくると凍り付いたような恐怖にとらわれて友だちみんなで逃げまくった。友だちと違って「団地のやつら」は、その心の中が見えない。夷──異民族との戦争とはこんな気持ちなのだろうかと思い出す。
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